麻雀界には「プロ雀士」として卓上で戦うだけでなく、業界そのものを動かす存在がいます。張敏賢(ちょう としまさ)氏はその代表格です。最高位戦日本プロ麻雀協会で最高位を2連覇(第31・32期)し、麻雀最強戦第19代最強位も獲得。この「最高位と最強位の二冠」は史上2人目という希少な記録です。引退後はRTD株式会社を設立してRTDリーグを主催、さらに2018年のMリーグ創設からは公式審判として6年間で600試合以上を担当し続けています。雀士・起業家・審判という三つの顔を持つこのプロの全貌を、初心者にもわかりやすく徹底解説します。
プロフィール |
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| 本名 | 張 敏賢(ちょう としまさ) |
| 生年月日 | 1973年1月17日(53歳・2026年時点) |
| 出身地 | 東京都 |
| 学歴 | 法政大学 経営学部 |
| 元所属団体 | 最高位戦日本プロ麻雀協会(1999年第24期入会〜2013年退会) |
| 現在の活動 | RTD株式会社 代表取締役、Mリーグ公式審判 |
| 雀風 | ホンイツ好きの積極攻撃型・独学スタイル |
| 主な獲得タイトル | 最高位(第31期・第32期)、最強位(第19期) |
| X(旧Twitter) | @cho_toshimasa |
経歴:独学から最高位へ |
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麻雀との出会い——ファミコンゲームから張敏賢氏が麻雀を覚えたのは中学生の頃。ファミコンの麻雀ゲームから入り、その奥深さに惹かれていきました。同世代の多くがそうであったように、デジタルゲームが麻雀の入口となった世代です。ゲームから始まった麻雀への興味は、やがて本格的な実戦への探求へと発展していきます。 法政大学卒業後——プロへの道を決意法政大学経営学部を卒業後、26歳(1999年)で最高位戦日本プロ麻雀協会にプロ入りします。大学卒業という社会の節目に麻雀プロの道を選んだのは、麻雀への強い情熱の表れです。経営学部出身という経歴は後のビジネス展開に活きることになりますが、この時点では純粋に麻雀の実力で上を目指す決意を固めました。 独学の日々——フリー雀荘での研鑽プロ入り後の張氏の修業スタイルは独特でした。他のプロとの勉強会やグループでの研鑽ではなく、フリー雀荘(誰でも参加できる麻雀店)での実戦を積み重ねるという独学スタイルを選びました。「周りの誰もがライバル」という意識で毎局と向き合い、最高位取得という明確な目標に向けて黙々と実力を磨き続けました。 この独学スタイルが、型にはまらない独自の麻雀観を生み出す原点となりました。誰かに教わった定石ではなく、自分の頭で考え抜いた判断の積み重ねこそが、後の快挙を支えることになります。 初出場で最高位獲得——2006年の快挙プロ入り7年目の2006年11月15日、張氏は最高位決定戦に初出場します。そして、なんと初出場でタイトルを獲得するという快挙を成し遂げます。最高位戦日本プロ麻雀協会の最高峰タイトル「最高位」は、長年にわたる厳しいリーグ戦を勝ち上がった実力者だけが手にできるタイトルです。その決定戦に初めて出場した選手がいきなり優勝するというのは、いかに張氏の実力が傑出していたかを示しています。 翌年も連覇——最高位防衛成功2007年度の第32期最高位戦では、ディフェンディングチャンピオンとして金子正輝氏・尾崎公太氏・伊藤英徳氏ら強豪を相手に防衛戦を戦い、見事に連覇を達成します。初出場での優勝が偶然ではなく確かな実力であることを、最も説得力のある方法——連覇——で証明しました。 最強位獲得——史上2人目の二冠達成(2008年)2008年、竹書房主催の「麻雀最強戦」で第19代最強位を獲得します。これにより、最高位戦の「最高位」と「麻雀最強戦の最強位」の両方を持つ選手は史上2人目(1人目は飯田正人氏)という希少な記録を打ち立てました。この年は麻雀プロとして最も輝いた年であり、張氏の実力が一競技プロの枠を超えた水準にあったことを示しています。 最高位戦事務局長——行政側へ2008年から2015年にかけて、張氏は最高位戦日本プロ麻雀協会の事務局長を務めます。選手として活躍するかたわら、団体の運営側としても麻雀界を支える立場を担いました。この経験が、後のビジネス展開の礎となります。 2013年退会——実業家への転身2013年の第38期最高位戦Aリーグを最後に、張氏は最高位戦日本プロ麻雀協会を退会します。競技選手としての第一線から退き、麻雀業界のビジネス側で新たな挑戦を始める決断をしました。 主な経歴年表
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主な実績・タイトル一覧 |
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競技麻雀タイトル
ビジネス・業界貢献
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雀風・麻雀スタイル(初心者向け解説) |
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ホンイツを得意とする積極攻撃型張敏賢プロの麻雀スタイルで最も特徴的なのは、「ホンイツ(混一色)」を好む積極的な攻撃スタイルです。ホンイツとは、手牌の牌を一種類の色(数牌の一種+字牌)に揃えた役で、比較的高い打点が期待できます。 【初心者向け】ホンイツとはどんな役か麻雀の牌には「マンズ(1〜9万)」「ピンズ(1〜9筒)」「ソーズ(1〜9索)」という3種類の数牌と、「字牌(じはい)」があります。 「ホンイツ」とは、手牌をこの中の一種類の数牌と字牌だけで構成する役です。たとえばマンズと字牌だけで手を作れば完成します。2翻(チー・ポンで鳴いた場合は1翻)の役で、打点が高くなりやすいのが特徴です。 ホンイツを得意とするプロは、高い打点でドカンと点数を稼ぐ「打点重視型」のスタイルを持つことが多く、張プロもこの傾向に合致します。 独学から生まれた個性的な打ち回し張敏賢プロは他のプロとの勉強会や共同研究には参加せず、フリー雀荘での実戦と自分の頭で考え抜いた独学スタイルで実力を磨きました。この経歴が、既存の型にはまらない独自の麻雀観を生み出しました。 「周りの誰もがライバル」という強い意識を持ちながら、自分だけの判断基準を積み上げてきた張プロ。初出場で最高位を獲得したことは、その独自スタイルが正しかったことを実証しています。 |
RTD株式会社とRTDリーグ |
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「リーチツモドラ」から生まれた社名2014年11月、張敏賢氏はRTD株式会社を設立します。社名の「RTD」は麻雀の基本的な役・操作である「リーチ(Reach)・ツモ(Tsumo)・ドラ(Dra)」の頭文字を取ったもので、「1000/2000(麻雀の最小点数単位)から始まり満貫(まんがん)以上を目指す」という理念を体現しています。麻雀プロとしての原点を会社名に込めた、愛着のある命名です。 NishiazabuRTD——新しい麻雀文化の空間2015年、東京・港区西麻布に麻雀店「NishiazabuRTD」をオープンしました。従来の雀荘とは一線を画す「大人の社交場」をコンセプトとし、セット専門(グループ予約制)・高級感のある内装が特徴です。麻雀を、煙草臭い賭博場のイメージから「洗練された知的ゲームの場」へと転換させる試みは、当時の麻雀界に新鮮な風をもたらしました。 RTDリーグ——Mリーグの前身2016年から、サイバーエージェント社長・藤田晋氏のプロデュースのもと「RTDリーグ」を主催します。RTDリーグは当時としては革新的な映像配信型の麻雀リーグで、プロ雀士が真剣勝負を繰り広げる対局をインターネットで配信するスタイルを採用しました。 このRTDリーグで培われた「映像で麻雀の対局を見せる」というフォーマットと実績が、2018年の「Mリーグ」創設につながったと広く言われています。つまりRTDリーグはMリーグの礎となった先駆的なリーグとも言えます。RTDリーグには多くの著名プロが参加し、小林剛プロのRTDリーグ2018優勝など数々の名勝負が生まれました。 |
Mリーグ審判としての活動 |
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Mリーグ創設時から支える審判2018年のMリーグ創設と同時に、張敏賢氏はMリーグの公式審判に就任します。初年度(2018年シーズン)だけで164試合もの審判を1人でこなすという、驚異的な働きを見せました。 2024年4月時点では6年間で累計600試合以上の審判を担当。これはMリーグという興行の品質を根底から支える継続的な貢献です。AbemaTVで放送されるMリーグの対局では、審判が公正な試合進行を保証しており、張氏はその重責を担い続けています。 審判の役割——公正な競技の守護者麻雀の審判(タイムキーパー・進行役)は、試合の公正性を保つ重要な役割です。特にMリーグのような公式大会では、厳格なルール運用・チョンボ(反則)の判定・試合進行のコントロールが求められます。張氏は元プロ雀士として麻雀の規則・状況を深く理解しており、その経験が審判業務にも活かされています。 プロ雀士から審判へ——業界への貢献の形RTD株式会社設立によるビジネス面の貢献に加え、Mリーグ審判という立場で競技の現場を支える——これは張敏賢氏が「プロ雀士として戦う」だけでなく「麻雀界全体を盛り上げる」ことを使命として捉えている証です。選手として輝かしいキャリアを歩んだ後に審判というポジションを選んだことは、麻雀界への深い愛着と責任感の表れと言えます。 |
よくある質問(FAQ) |
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まとめ |
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張敏賢氏は「プロ雀士・起業家・審判」という三つの顔を持つ、日本麻雀界でも異色のキャリアを歩んできた人物です。最高位2連覇・最強位獲得という競技者としての輝かしい実績を持ちながら、引退後はRTD株式会社を設立してRTDリーグを主催し、Mリーグの礎を作ることに貢献しました。 さらに、Mリーグ創設から6年以上にわたり公式審判として600試合超の対局を支え続けているその姿勢は、麻雀への深い愛着と責任感を体現しています。「新しいマージャン文化の創造」を目指すという張氏の信念は、競技者・経営者・審判というあらゆる立場で一貫して発揮されてきたと言えるでしょう。 Mリーグの試合をAbemaTVで観戦する際には、公正な試合進行を陰で支える審判の存在にも目を向けてみてください。そこには競技者として頂点を極め、今は業界全体の発展を支える張敏賢氏の姿があります。 |